吉野百年黒杉の魅力
黒い杉は、見た目の違いで化粧材として木材流通の中で敬遠されていましたが、ここ数年の研究で、吉野産の樹齢100年超の杉で実験したところ、耐久性や防蟻性に優れる事が実証されました。
優れた性能と『吉野百年黒杉』独特の黒や赤などが混ざる風合の美しさ、目新しさを伝えるため休憩場所を建築しました。
吉野百年黒杉の特徴
腐りにくい
吉野百年黒杉は、菌に抵抗力のある抽出成分を一定量含んでおり、高い耐朽性を備えています。
シロアリに強い
吉野百年黒杉は、シロアリに抵抗力のある抽出成分を一定量含んおり、シロアリに対する高い耐蟻性を持っています。
カビが生えにくい
吉野百年黒杉は、菌に抵抗力のある抽出成分を一定量含んでいます。
吉野百年黒杉で休憩棟を建てるまでの道のり
吉野百年黒杉の産地
『吉野百年黒杉』の産地は、奈良県吉野地域とその周辺地域となります。
吉野地方は年間降水量は2,000mm以上と多く、年平均気温14℃、冬季の積雪30cm以下、杉の生育に最適な条件を備えています。
日本三大 人工美林の吉野杉は、1500年頃(足利末期)に造林が吉野郡川上村で行われた記録があり、古くから林業が盛んな地域です。
吉野林業の特徴は、極端な密植、枝打ち作業、弱度の間伐を数多く繰り返し、手間をかけて育てることにより、節のない年輪幅が狭く、均一で幹は通直・完満・真円の杉が育ちます。
長伐期施業という、大径木を生産することを目的とした林業を行い。長い期間育て、樹齢100年を超す杉・桧に対しても間伐作業を行い大径木を生産し続けています。
奈良県の人工林の特徴
樹齢95年(19齢級)以上の森林が全国平均と比べて高い割合にあります。 『吉野百年黒杉』は、奈良県吉野地方で多くの高齢木を産出することができるため、生まれたブランドです。
・吉野林業
https://www.pref.nara.jp/7429.htm
・奈良県森林・林業・木材産業の現況
https://www.pref.nara.jp/secure/10957/01%20.pdf
休憩棟建設には、奈良県西吉野 勢井山の原木をおもに使用
奈良県五條市西吉野町勢井
勢井山は西吉野村と天川村の境に位置しており、標高600〜700m程の奥山です。
100年〜120年生の杉と桧が植えられた人口林
勢井山は100年〜120年生の杉と桧が混植された人口林です。丁寧な枝打ちと間伐が行われた、手入れが行きとどいた山です。
勢井山から3000立方メートルの出品
勢井山からは、2019年6月から3年かけて杉・桧あわせて3000立方メートルの原木が上吉野木材協同組合の原木市に出品されました。 杉におきましては、心材が淡赤色から濃い赤、赤黒と様々な状態の丸太が出材され、心材が赤黒の『吉野百年黒杉』を厳選して休憩棟建設に使用しました。
勢井山から2044本の杉が出品されました
2044本の杉丸太として当組合に出品して頂きました。 節のない年輪の詰まった杉が確認できます
杉の心材の色は、伐採した後に数ヶ月葉枯らし乾燥(枝葉をつけたまま山に放置)した後に解ります。 杉特有の個性として、淡赤色から濃い赤、赤黒と様々な色の材が存在します。
買い付けておいた原木から選ぶ
上吉野木材協同組合の土場にて、買い付けておいた『吉野百年黒杉』から休憩棟に使用する丸太を選びました。
製材所にて丸太を選別
製材所にて丸太の状態を1本1本確認します。
選別時は、丸太の形状、年輪幅、枝打ち、抜け節、傷、腐れ、アテ等を確認してどのような製品を製材するか決めます。
原木の皮むき
製材しやすいように杉皮をブロック状の刃物が付いた機械で取り除きます。
原木の皮には、砂や小石が付着している場合があり製材機の刃物を傷つける恐れがある為、皮むき作業が必要です。また、皮を剥ぐことにより丸太の欠点や状態を確認でき、より良い木取りで製材が行えます。
製材
木の性質をよく判断して、その木材に最も適した「角材」を得るため「木取り」をします。
節のない木目の美しい化粧材を主力商品としている吉野材では、人間の目で確認して1本1本の原木を丁寧に製材しています。
帯鋸製材機を用いて丸太を梁・柱・土台など必要とする大きさに丸太を切ります。
一度大きめに製材して、乾燥させた後、曲がりを修正挽きします。
乾燥
色黒杉は、含水率が高い傾向がある為、低温除湿乾燥機を使用して木材を乾燥させます。
低温除湿乾燥機は、庫内の温度を45℃くらいまで上げ、庫内の風向きを一定方向にして循環させます。温められた木材からは水分が蒸発し、乾燥が進みます。
建築風景
柱、梁、筋交いなど、木の「軸」を組み立てて建物を支える日本の伝統的な在来工法で建築しました。
休憩棟完成
外壁の塗装
外壁の塗装は、試験的に無塗装箇所と「キシラデコール白木やすらぎ」を塗装した箇所に分かれています。『吉野百年黒杉』の経年劣化と外壁として使用する場合、塗料の必要性を確認することが目的となります。
2022年11月に休憩棟は完成しました。6ヶ月後の様子ですが、遠目からは違いが解りません。
キシラデコール白木やすらぎ
キシラデコールの性能にUV(紫外線)カット効果をプラス。白木の風合いを生かしながら木部の劣化・変色を防ぎます。
建屋の周りにベンチを設置して、人々が気楽に集える場所が出来ました。
吉野百年黒杉
Special Thanks
吉野ウイング
吉野材を直接購入いただけます。 吉野杉、吉野桧の木材の情報、共同受注調整、木の相談窓口です。
吉野中央木材株式会社
休憩棟に使用した「吉野百年黒杉」を製材加工して頂きました。吉野杉・吉野桧の製材加工販売。吉野の山から、木のある暮らしをお届けします。
株式会社 南工務店
休憩棟の設計、建築をお願いした吉野に根づき吉野を支える骨太住宅の株式会社 南工務店です。
LINK
外構部等の木質化対策支援事業
美しい「まちづくり」に 調和する外構部の木質化の 支援事業を推進する全国木材協同組合連合会。
奈良県森林技術センター
吉野百年黒杉の材質評価試験を行いました。。奈良県森林技術センターは、「種子から木材そして住宅まで」を掲げて研究開発および普及指導を行っています。
吉野百年黒杉
心材の色が黒色がかる樹齢百年以上の吉野杉に秘められた驚きの特性! 奈良県森林技術センターにて『吉野百年黒杉』の材質・性能試験を行いました。結果を確認ください。